私達は、旅の支度を整えた。


 
私達は、2人だけで旅に出る。笠本さんは諸事情で出かけられないそうだ。





陽梁は、Tシャツに長ズボンで髪はポニーテール。リアンノンは、前髪を止めている。




私は、Tシャツにレギンスにスカート。髪はポニーテール。ヴェローネは、ちゃんとシャツに付けた。






私達は、リュックを背負った。いくらなんでも革袋はダサすぎる。




私達は校門を出た。冒険の旅の始まりだ!





「陽梁、まずどうする? 皆何処にいるか分かんないよ?」





陽梁は少し考えてから応えた。



「皆は家を出た後、誘拐された。けど、いくらクイーンでも、38人も1度に誘拐するのはハード過ぎる。多分、通学路に罠を仕掛けたんだと思う」




なるほど。




「美鈴の家の場所は知ってる。美鈴はいつも最短コースで通ってるから、だいたいの道も見当がつく。行ってみようと思ってるんだけど」




「すごい! 私そんなの考えなかった! 行ってみよ!」



「分かった。ちょっと電車乗るよ」




私達は最寄り駅から、下り方面に5駅乗った。



あんまり駅としてはでかくない。


「こっち」



陽梁がおもむろに歩き出した。私は慌ててついて行った。



何度も道を渡ったり曲がったりした。何処をどう行ったのか分からない。気がついたら、路地にいた。



陽梁が立ち止まる。


「ここよ」



はい? そこ、何もありませんけど。


「ここ魔力を感じる。間違いないわ」



私は何も感じない。



「間違いない。探知系の術を持ってないから分からないかもしれないけど、ここで強い魔法が使われた」



はい? 探知系の術を持ってないと分からない? てことは、やっぱり陽梁は探知術持ってたんだ!





陽梁が手をかざす。



すると、魔法陣が浮き上がった。円の周りに沢山の神秘的な記号がある。陽梁が魔法陣に足を踏み入れた……




次の瞬間




「嘘!」



陽梁が消え失せた。



私は慌てて魔法陣に入った。



そして、お臍が引っ張られるような感じがした時、なんにも見えなくなった。
 





「陽梁! 何処にいるの?」



私は叫んだ。



「ここ……私が手をつないでいるから大丈夫」





そう言うと、私達は、流れに乗るようにして、下へと急降下して行った。