「あーあ。もう試験とかやだしー」


私は数学のノートを放り出した。


時計を見ると、勉強を始めてから30分くらいしか経っていなかった。




「もう少し頑張ろうよ。試験終わったら、殆ど休みじゃん」



そう言いつつ、ノートから目線を上げない陽梁。




陽梁がやってるのは世界史。びっくりするくらい綺麗にまとめられていて、クラス全員がコピーを欲しがるほどだ。




「頭いい人はいいよね。たいして勉強しなくても、良い点取るんだもん」



「私、頭悪いよ」


陽梁は私を見てきょとんとした顔で言った。




「よく言うよ。じゃあ中間の5教科合計クラストップなのは、誰だっけ?」



「あれはまぐれよ。たまたま得意な所が出ただけ」




「全く不登校だったのに、よくやるよね」




「里依!」



ヤバい。



陽梁が自分を抑えきれなくなったら大変な事になる。



陽梁は不登校だった事をコンプレックスに思っている所がある。







「確かに勉強は覚えるスピードとか、要領の良さとかあるけど、やれば出来るようになってるんだから……ね……もう少しがんばろ」



そう言って陽梁は勉強に戻ってしまった。





あーあ。勉強なんか無くなっちまえ。