Bloom ─ブルーム─

置いてきぼりを食らうのはいや。

咄嗟に杏奈の制服の裾をつかんでしまった。

「離してよ。てか、あんたになんで呼び捨てされてるのかわかんないんだけど」

「だって、直人からいろいろ噂は聞いてたもん。名前は前から知ってたよ。あ、私は里花」

「う……わさ?」

直人の名前を耳にして明らかに動揺する杏奈。

「うん。しつこいってさ」

「……ほら、やっぱり正々堂々と勝負したって、勝ち目ないじゃん。なのに、友里亜は何もしてなくても簡単に持ってく。ずるいよ」

「それは友里亜が可愛いだけじゃなくて、性格もいいからだよ。間違っても杏奈みたいなマネしないもん」

「私、昨日バスから見てたの。あんたたちがバンドのメンバーと帰ってるとこ。それで、それを見てる寂しそうな直人も。

そしたら、いてもたってもいられなくて。友里亜に腹が立って仕方なかったの。直人がどれだけ見てるのかも知らずに……悔しいじゃん」

杏奈の真っ直ぐな気持ちはなんとなくわからないでもなかった。

「でも、それなら友里亜に直接言いなよ。あんなメールなんて、直人から見てもいい気持ちはしないはずなのに」

「わかってるよ。最初はやめようって言ってたの。でも、友達と話してるうちに周りが仕返ししようって盛り上がり始めて、なんとなく。

私の携帯を回しながらみんなで、だんだんゲームみたいな気分になってきちゃって」