「ちょっと、人の携帯勝手に触んないでよ!」

慌てて奪い返そうとする杏奈。

でも私の予想は大当たりだった。

開いたボックスの中には、さっき友里亜の携帯で見たのと同じメールが100件入っていたんだ。

「これ、どういう事?」

私につかみかかってくる杏奈の手をすり抜けて、友里亜に送ったメールを彼女の目の前に突きつける。

「知らない。いーから返して!」

「こんな卑怯な事する暇あったら、少しは自分磨きでもしたら?こんな事して直人が振り向くわけないじゃん」

「あんたに何がわかるの?あーそうか、そうやってニコニコしてるだけの女の子の隣にいたら、山本先輩の友達と知り合いになれるもんね。利用しておこぼれもらって得してるからこんな正義の味方みたいなマネするんだ?」

ブチッ。

キレた音は多分友里亜にも届いたはず。

やばいと感じた友里亜は慌てて私を引っ張った。

けど、もう遅い。

めちゃくちゃムカついたんですけど!

「正義の味方?勘違いしないで。私は友里亜の為にこんな事言ってるんじゃないよ。私も友里亜に超ムカついてるもん!」

「え?」

一番動揺したのは隣の友里亜だった。