「友里亜、それは違うから!」

私は友里亜の手を掴むとそのまま走り出した。

行き先は隣のクラスの藤田杏奈の元。

入学当初から直人に気があって、数回告白してる現場を目撃した事あるし、直人からも「あいつしつこい」って話を聞いた事があった。

メールを見て真っ先に思いついたのは杏奈の顔だった。

友里亜だって、多分そうだと思ってるでしょ?

すぐに着いた隣のクラス。

でも教室を見渡しても彼女の姿が見当たらない。

次は体育らしく、数人がジャージを持って移動し始めていた。

「更衣室行こ」

「ね、里花、いいよ。違う人かもしれないし」

走る私を、必死で止めようとする友里亜。

でも私の気持ちは変わらない。変えられない。

こんな卑怯なやり方するなんて。

やるなら正々堂々と戦いなさいよ。

階段を駆け降り、玄関を横切ったところでやっと、体育館に向かってのんびり歩いてる杏奈の後ろ姿を見つけた。

ちょうど誰かにメールしてるのか、片手に持った携帯画面に夢中で、歩くスピードがトロい。

私は彼女に近づくと、後ろからスッとその携帯を引き抜き、すかさず送信ボックスを開いた。