「振り返してあげな」

私は躊躇ってる友里亜の手を掴むと、窓の外に向かって大きく振り上げた。

一瞬、長谷川大樹と目が合った気がした。

気づいた山本先輩は嬉しそうにこっちに駆け寄ると、

「今日も一緒に帰ろー!玄関で待ってるから」

友里亜に向かって叫ぶ。

「俺も待つ。俺も待つ!」

隣でギターがぴょんぴょん飛び跳ねながら便乗。

でも友里亜は困ったように黙ったまま何も答えなかった。

「友里亜?」

隣の私も、下のギターも山本先輩も不思議そうに首を傾げる。

その途端、友里亜の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。

「ちょ、友里亜?どうしたの?」

「ごめ、ごめん里花。何でもないんだけど」

何でもないはずないじゃん。

必死で涙を止めようと手で目元を押さえるけど、そんな友里亜の意思と反対に、こぼれ出した涙は全く止まる気配がない。

「何かあったんでしょ?」

私は友里亜の腕を強くつかみ、ちゃんと話して、と友里亜を見つめた。