昨日の、どうしていいかわからないと悩んでいた友里亜が、今日は妙に落ち着いてる。

窓から入り込む風が気持ちいいと、ふんわり笑う目の前の女神。

友里亜の可愛さに初めて嫉妬した。

嫉妬したところで、何も変わらないけど。

でも、友里亜の容姿があれば、誰かの“特別”になるのはきっと簡単な事なんだろうなって思って。

別に特別席が欲しいわけではないけど。

「友里亜、山本先輩とどうだったの?」

「……うん。楽しかったよ。優しいし、面白いし、素敵な人だと思う」

「付き合うの?」

「うーん、多分そういうんじゃないのかも」

「そういうんじゃない、とは?」

「なんかね、みんなで“友里亜ちゃん”“友里亜様”って持ち上げて、自分で言うのも何だけど、アイドルとファンみたいな感じがしたんだ。私はもっと普通に話がしたいのに、みんな遠い……」

知らなかった。

友里亜ほどの美人になると、そんな苦悩があるのか。

確かに、みんな友里亜を好き好き言うけど、友里亜とちゃんと話して友里亜を理解した上で恋をしていたのは、直人だけだったかも。

みんな端から見て「可愛いから好き」みたいな、アイドルの追っかけっぽかった。