「また?」

またって言われるほど、先輩の前で強がった自分を見せた記憶はないんだけど。

「そ。昨日さ、オバケ屋敷で。すげーへっぴり腰なのに、『私がいるから大丈夫だよ?』なんて友達の手引いて、強がってたじゃん」

「あ……や、あれは全然平気だったけど、その、多少怯えてあげないとオバケさんに失礼だし、」

しどろもどろに言い訳する私を、先輩がはいはいと言いながら笑う。

キャラ的に、絶対友里亜の方が怖がると思ったのに、なぜか『すごいリアルだね?』なんて楽しげだったんだよなぁ。

で、友里亜を守るつもりで握った手を、泣きそうになりながら『離さないで』と思っていたのは私の方で。

だって、想像以上の暗さだったんだもん。オバケもレベル高かったし。

「絶対この子びびってると思ったら、もっと驚かしたくなっちゃって、キミにだけ足首つかむというオプションつけちゃったんだよね~」

「私?だけ?」

「うん。基本オバケさんは触れるのNGだもん」

そーなの?

「あれは本当にびっくりしたんですよー!」

ペシペシッ。

本日2度目。先輩の腕を叩く。

先輩は大袈裟に「いって!イタッ」と騒いでは、大事な商売道具、傷物にしないでーなんて笑っていた。