「“あの”山本先輩って!最初はカッコいいって騒いでたくせに」

『男は顔じゃないんだよ。ある程度の脳ミソも必要!

って思ってたけど、こんなほったらかしにされたら浮気もしたくなるわっ』

「あーあ、そんなこと言って怒ってたら、本当に健さん帰って来なくなっちゃうかもよ?」

『帰って来ないから怒ってるんじゃん』

「うん……」

寂しい……それは禁句だってわかってるから。

私達はお互いにその言葉を呑み込む。

「これから由紀ちゃんとこで受験勉強するつもりなんだけど、杏奈も来ない?」

『……うん。今学校出たとこだから、もう少しでそっち着く』

「まだ学校だったんだ?」

『だって今日日直だったんだもん。日誌書いてたら遅くなったぁ。しかも、さっき友里亜に捕まって、また笑いながら話すもんだからいつまでも終わんなくてさ。

ったく。直人にちゃんと教育させないとだめだわ、あの子」

「くくくっ。あれは直んないよ。友里亜の特技だもん。じゃあ、ゆっくり待ってるねー」

『あ、そうだ。サイト更新されて来月後半の予定載ってたけど見た?』

「ううん。まだ見てない」

『ふーん。あんたにはちょっといい話が載ってるかもよ。じゃ、後でね』

こっちの返事も聞かずにブチッと電話を切るとこは本当杏奈らしい。

でも、いい話って、なんだろ?

すぐにスマホをタップして、ブックマークしてるサイトを開いてみる。