Bloom ─ブルーム─

熱いくらいだった手のひらに、スーッと風が吹きつける。

それが、ひどく寂しくて。

また欲張りになってる自分に気づく。

ただそこにいて笑っててくれるだけでいいと思ったはずなのに。

昨日みたいに抱き締められたら、好きでいる気持ちを先輩のせいにして、想い続けることを許してもらおうと考える自分がいて。

握られる温もりを知ったら、今度はその手を離さないで欲しいと願ってる。

いつか、私から離れて遠くへ行ってしまうかもしれない人。

その時、ちゃんと笑って見送れるのかな。

もしかしたら、さらに欲張りになってる私は、泣いて困らせてしまうのかも。

でも……。

先輩、いつか言ってたっけ。

“全ての人に、明日があるとは限らないっていうのを、今、迷ってる人に伝えられたらいいな”って。

この場所で、お母さんの話をしてくれた時に。

あるかどうかわからない明日なら、今1番したいことをしなきゃ、きっと後悔する。

今までは、先輩を困らせたくなくて、自分の気持ちに鍵をかけるしか出来なかったけど。

でも、私が1番したかったのは、そんなことじゃない。

困らせるかもとか、泣いたらどうしようとか、そんなこと考える前にもっと大事なことがあるはず。

この瞬間の1秒後だって、保証されてないんだから。

明日生きてるかどうかだって、わかんないんだ。

それなら、見えない未来に怯えて、この手を振りほどくなんてもったいないこと出来るわけない。