Bloom ─ブルーム─

ウソ。

手の甲の痛みは確かにあるんだけど。

でもこんなの、夢だとしか思えない。

リアルな夢?

痛みも感じちゃうくらいの、夢?

だって。

「昨日もさ、俺が見てたいのは妹じゃなくて里花なのに、勘違いされるし」

「ま、待って、ナナさんは……?」

仲良さそうに歩いてたでしょ?

あんなに想い続けた人への気持ちを、私なんかで埋められるはずないでしょ?

横を向いてた顔を先輩側に戻すと、真っ直ぐ私を見つめ返してくれる先輩は、ゆっくり答えをくれた。

「あの後ずっと考えてて。

けどどんなに考えても里花の顔しか浮かばなくて、やっとわかったんだ。

だから、ライブの1週間後位にナナに電話して。それで、ちゃんと終わらせた」

ナナさんと、終わった?

「でも、仲良く歩いてるのを……見たから」

「え?」

それを言うと、先輩はひどく驚いた顔をした。

「たまたま、駅で見かけちゃったんです。だから、ちゃんと話し合ってうまくいったんだとばかり……。

そしたら私の気持ちが重荷になっちゃいけないと思って、それで……」

「それで?」

「それで……忘れなきゃいけないと思って。でもできなくて、結局避けることしかできなくて」