Bloom ─ブルーム─

「授業中居眠りしてる間に、健が、勝手に設定したんだよ」

わけがわからず、渡されたスマホを持ったままボーッとみんなの会話に耳を傾けていた私に、大樹先輩が言う。

「それを変えなかったのは、俺だけど」

紙飛行機に印刷されたものと同じ顔が、私の手のひらで笑ってる。

とりあえず、黙って先輩にスマホを返した。

こんなことしたら、ナナさんはどう思うかわかっててしてるんだろうか?

この掴む腕も。

私がどう思うかわかっててしてるんだろうか?

これも、オマジナイだとでも言うの?

それを『そうなんだー』なんて笑って受け入れられるほど、私は強くない。

でも、私の戸惑いなんて知らない先輩は、掴んでいた腕を開放したかと思うと、今度はそんな私の手を握って、健さん達とは逆方向に歩き出した。

学校?

手のひらから汗が滲む。

始めて繋いだ先輩の手は、意外に大きかった。

ドクンッドクンッドクンッ。

飛び出しちゃうんじゃないかってぐらい激しく動き始めた心臓。

それに合わせて、制服のリボンが揺れる。

鎮まれ心臓!

私の動揺バレてしまう。

なのに、こんなに入り乱れる感情と葛藤してる私の隣で、何も言ってくれない涼しい顔した先輩。

ずるい。

なんでこんなことするんだろう。