Bloom ─ブルーム─

何度か目にしたことのある、このシルバーで縁取った黒いスマホは、間違いなく大樹先輩のものなのに。

待ち受けが……健さんと同じ?

裏返せばやっぱり。

そこには大きく『2年3組 長谷川 大樹』って書いてある。

てか、これ進級したらどうするんだろう。せめて3年生も3組だといいけど。

「俺がそんなダッサイ待ち受けにするわけないだろ」

健さんがガハハと笑い、シンプルな文字とラインだけの自分のスマホの画面を見せてきた。

どういうこと?

そして

「悪いな、ま、そう言うことだから」

なんて高橋君の肩に手を回してる。

さらに健さんのお決まりのセリフを彼にも。

「ラーメンご馳走してやろうか?」

杏奈が「はい!はい!ラーメン食べて山本先輩と恋しまーす!」なんてはしゃいでた。

「俺、ふられたんすか?」

高橋君は振り返りながら、腑に落ちない風。

「俺の女の友達紹介する?老け顔のあんたにはこの小学生よりずっといいと思うけど?」

ドラムが珍しく彼女の話を持ち出す。

老け顔って。

てか、小学生って私のこと?

「年上だよ?ナニもかも経験豊富だぞ?なぁ?」

健さんが右手でドンドンと高橋君の背中叩きながら励ましていた。

「そうだ、みんなまとめて合コンだろ!」

今度はまだ傷の癒えない山本先輩の背中を、左手でドンドンと大きく叩いてる健さん。

自転車置場の屋根の下で、妙に元気な健さんの笑い声が楽しそうに響いていた。