Bloom ─ブルーム─

そして、諦めたように自転車から離れ私の前に立つと、その場で話し始める。

「ずっと見てたよ。入学した時から」

入学?

そんな前から見ててくれてたんだ。

「なんか毎日走ってばっかりで、いつも誰かの為にめちゃくちゃ一生懸命だなーって。それで気になってて、気づいたら好きになってたんだ。

今すぐ返事くれなくてもいいから、前向きに考えてもらえないかな」

緊張してるのか、言い終えると高橋君ははぁーっと大きく息を吐き出していた。

やっと言えた、なんて小さく呟いてる。

こんなに真っ直ぐな告白受けたのは、初めてだ。

こんな私でも見ててくれてる人がいたんだ。

それが、素直に嬉しい。

「ダメかな?全く見込みないなら、諦めるけど」

見込み?どうだろう。

前向きに考えられる?

失恋した今、杏奈みたいに他の人に目を向けるのが、立ち直るには1番いい方法なのかもしれない。

高橋君はいい人そうだし。

かっこよくはないけど、不細工でもないし。

確かスポーツ万能だったはず。

悪い話じゃない。

なのに。

「ごめんね」

私の口からはそれしか出てこなかった。

「あ、だから、今すぐ答え出さなくていいから、とりあえず友達からとかでも……」

「……ごめんね」

こんな風に想ってくれる人を好きになれたらどんなに楽だろうって、頭ではわかってても、無理なんだ。

「なんで?大事にするよ?」

なんで?

なんでだろ。

理由を口にしたら、閉じ込めてた想いがとめどなく溢れてしまいそうで、私は俯いた。

忘れなきゃならないのに、まだ大樹先輩しか見えない、なんて。