Bloom ─ブルーム─

ふふっと笑うと

「余計なこと考えてると、今度は止めてやらないよ?」

私の顎を指でくいっと持ち上げ、キスする体勢を整える健さん。

「ち、ちょ、ちょちょちょちょ」

ちょっと待って!が言えなくて。

焦りすぎた。

「ぶっははははっ!何だよ?ちょちょちょちょって!」

「だ、だって!」

開放されて即座に健さんと距離を取る。

「そんな逃げるなよ。大丈夫だよ、俺は柴犬に萌えないから」

ホッとしたような?いや、バカにされてる?

「で、花子、どうやって友里亜ちゃんとこ行くの?チャリ貸そうか?」

花子って!

「えっと……国道に出れば多分バスがたくさん来るはずだから、大丈夫です」

「そ」

「はい。じゃあ、行きますね」

「おぉ」

健さんに手を振り、大樹先輩がいる建物に背を向ける。

「──なぁ」

そしたらなぜか、健さんが私をひき止めた。

「はい?」

振り返ると、自分の自転車にもたれかかったままこっちを見てる彼。

どうせ、こうやって振り返る顔も花子そっくりだ、なんて笑うんだろうって思ったのに。

あんまり健さんが真面目な顔をしてるから、拍子抜け。

「もし、マジで大樹に振られたらさ、」

とっくに振られてますけど?

「俺がお前引き取ってやろうか?」

「……」

引き取るって、犬じゃないんだから。

でも、真剣な眼差しと企むように笑う口元をあわせ持って、冗談とも、本気ともつかない言葉を吐く健さんに、なぜかドキッとしてしまった。