Bloom ─ブルーム─

「赤ちゃんからパワーもらいましたから」

「へぇ。じゃあ俺も拝んできた方がいいかな?」

健さんはお尻についた汚れをほろいながら立ち上がった。

「あ、でも今はダメです。今は多分……」

2人が必死で距離を縮めようとしてるはずだから。

多分。

そっと建物を見上げた。

見上げても部屋の様子なんて窺えるはずないんだけど。

そんな私に

「ラーメンご馳走してやろうか?」

健さんが言う。

なんだかそれが、『元気出せよ』っていう慰めの言葉に聞こえるから不思議。

「もうやけ食いは卒業しました」

だから、笑ってみせる。

私なりの『もう大丈夫』。

「そう言えば、友里亜ちゃんも、さっきやっと踏み出したっぽいよ」

健さんは学校に向かう道を指差して言った。

「友里亜?何かあったんですか?」

「んー。俺んちの前で泣きながら勇に謝ってた。ありゃ、別れ話じゃね?

嫉妬を知ってやっと自分の気持ちに気づいたかな?」

「嫉妬?」

「ちょうどあの学祭のときの、直人とかいう奴が女と歩いててさ。

あー、あの女俺らと同じ中学だよな、確か。見たことあるわ……つーか、そうだ、お前がビンタした女!」

「杏奈?」

「名前聞いてもわかんねぇや。

ま、どっちにしても良かったんじゃね?直人もあの女にまるで興味なさそうだったし。遅かれ早かれこうなる予定だったんだろ」

「どういうこと?」