Bloom ─ブルーム─

横たわる大樹先輩の体を無理矢理起こすと、さらに胸ぐらをつかみ、その体を揺する健さん。

「何かっこつけてんだよ。自分は関係ないみたいな顔して。知ってんだよ、俺よりお前の方がナナを引きずってたこと」

ボフッ!!

再び殴る鈍い音が響く。

キャーッとみんなは顔を覆って怯えるけど、私は目を見開いて一部始終を見ていた。

「欲しければ欲しいって言えよ。俺の知らないとこで1人でかっこつけてんじゃねーよ」

健さんが、悲しんでいるのがわかったから。

「そんなことされてもなぁ、惨めになるだけなんだよ」

健さんは怒ってるんじゃなくて、大樹先輩が作る距離に悲しんでるんだ。

自分だけ置いてきぼりみたいで、寂しいんだ。

「俺だけバカみたいじゃん。お前のこと何も知らないで、バカみたいじゃん。怒れよ!殴ってこいよ!」

泣きそうになりながら、一生懸命訴える健さんに対して、大樹先輩は何も言わず、ただ見つめ返しているだけだった。