Bloom ─ブルーム─

でも友里亜は、自分が振られたみたいにションボリしてしまう。

私はその口に、もう1度ポテトを突っ込んでみた。

「もー、里花」

ポテトをくわえて、ふわっと笑う友里亜。

可愛い。

ナナさんも、こんな風に笑う人なんだろうか。

「でも、里花の頑張りしだいで、絶対両想いになれるときは来ると思う。だって」

根拠もなく、私を勇気づけようとしたんだろう。

友里亜はその続きを見つけられず「でなきゃ、やだもん」なんて、子どもみたいに口を尖らす。

窓の外を見ると、さっきのどしゃ降りは一時的なものだったのか、小雨に戻っていた。

「里花、せっかくの誕生会も、1日遅れになっちゃって、ごめんね」

「えー?全然いいよ。てか、明日山本先輩と会わなくていいの?」

友里亜の誕生日を2人でお祝いした時に決めたんだ。

私の誕生日も2人で祝おうって。

今回はライブがあったから、1日遅れになっちゃうけど。

「うん。大丈夫だよ。さっき勇君にも話しておいたし。『今日里花の誕生日なんだよ』って言ったらね、夏生まれっぽいもんねって笑ってたよ」

「夏生まれっぽい?」

「うん、そうそう、でね、『空発電しそう』って空を指差すの。何のことかわかんなくて聞いたらね、すごく自信満々に、太陽の光を使って発電するって説明してくれてね。

ソーラーのこと?って聞いたら、ポカンとしてたの」

て言うか、その前に、私は太陽光発電するんですか?

「それでね、ふふふ」

思い出しては、話す前に笑い出す友里亜。

言いたい事の半分も伝わらないけど、くすくす笑う友里亜を見てたら、いろんな事が「ま、いいか」と思えてしまうから、不思議。

「ほら、早く食べて行かないと遅刻になっちゃうよ」

私が急かすと

「あ、本当だ」

友里亜は壁に飾られた時計の絵画を見て慌てていた。