「あのね、長谷川先輩、そのナナさんって人にに、最近になってやり直そうって言われたらしいの。

でも、振ったんだって。

1度別れてるんだから、当然なのかもしれないんだけどね、『あいつはナナを忘れられなかったはずなのに』って、なぜかすごく健先輩怒ってたんだ。

なんか、健先輩もナナさんを好きみたいで、今日のライブ見に来てほしいってナナさんに電話かけて、長谷川先輩との成り行きを知ったみたいなの。

そしたらね、勇君が、『大樹には里花ちゃんがいるからだろ』って言ったんだよ?

すごくない?」

どーだ?と言わんばかりに、瞳をキラキラさせて私の反応を待つ友里亜。

でも、ごめん。

友里亜の期待するような反応は出来ない。

「ずっと忘れられなかったナナさんを振るくらい、里花が長谷川先輩の気持ちを動かしたんだーと思ったら私感動しちゃって。

で、さっき見たら長谷川先輩がミサンガつけてるでしょ?もうこれは絶対両想いだ!って思ったの」

それよりも、今、一緒にいる健さんと大樹先輩の仲が気になって仕方ない。

さっきの健さんから感じた違和感の答えは、これだったんだ。

『電話してみようかな』と言っていた、健さん。

本当にナナさんに電話しちゃったんだ。

そして、知っちゃったんだ。

健さんに遠慮して、大樹先輩がナナさんを振ったことを。