混雑する店内で、早口のお姉さんに急かされるようにしてポテトとコーラを注文する。

窓際の狭い2人席に座ると、周りの女の子達の声が騒がしく感じた。

私達も女の子なんだけどね。

慣れない場所と初ライブへの緊張感が、いつもの私達のテンションを抑えてるみたい。

でも、そんな空気も、たまにはいいかも。

最近は山本先輩にとられてばかりだったから、友里亜とこうして落ち着いて話すのは久々だし。

私より何倍も上手に巻かれた髪を、耳にかける友里亜。

首もとのネックレスがキラッと光った。

「あれ?それ、直人からもらったものじゃない?」

先々月の友里亜の誕生日に、「くじ引きでたまたま当たったから」ってあり得ない嘘ついて渡してるのを私も見ていたんだ。

確かすごく小さいけど友里亜の誕生石が埋め込まれてるんだよね。

「うん……たまたまこの服に合うのがなくて……」

そう言う友里亜は白いワンピースを着ていた。

「勇君ね、今日は私のために弾くからって言ってくれたの。私、ベースとギターの違いを知らなくて。ベースとギターって、弦の数が違うんだってね。里花知ってた?でもパッと見わかんないよね?私、もし勇君がギターを持ってても気づかない自信あるもん」

息もつかずに喋り続けた友里亜は

「私ね、勇君が、好きなの」

自分に言い聞かせるかのように呟いて、ストローに口をつけた。

『後は信じるしかないさ』

大樹先輩の声が聞こえた気がした。