家で?しちゃった?って!

「し、しちゃったの?もう?」

「や、やや、やだ、里花、声大きいよ」

友里亜は前の4人に聞こえていないか不安そうに見て、シーっと口の前に人差し指を当てた。

幸い4人は音楽の話で盛り上がっていて、私達の存在も忘れてる風だ。

「だって、しちゃったって……」

まぁ、あの顔からして経験豊富そうだし、手も早そうだけど。

「だって、不意討ちだったから」

不意討ちでできるものなのか?

ん?と考えたとき

「ほっぺに急にチュッて……されちゃった」

友里亜が純粋で天然だってことを思い出した。

「友里亜、しちゃったって、もしかしてキス?しかもほっぺ?」

「……うん。本当に不意にだったから、びっくりして」

「ぶぶぶっ」

これは、山本先輩先が長いなと思うと笑いが止まらなくなってしまった。

山本先輩は気づいたのか、振り返ると

「笑いすぎ」

って、私を指差し、睨みをきかせる。

「なに?どしたの?」

不思議そうに聞く大樹先輩に、それまで黙ってたドラムが

「勇が女のほっぺたにチューしただけで満足するっつー話」

実は全部聞こえていたのか、そんな風に言ってきた。

「マジで?コイツが?」

「うるせーよ!俺は純なんだよ!悪いか」

「へー。じゃあ、勇の押し入れで見たあのDVDの山は俺の幻覚?」

「そうだよ!幻覚だよ!」