ふわり、と流れた風に乗って桜の花弁が目の前に舞ってきた。

今日は入学式。まだ制服に着られてる様な体の小さい後輩達はそわそわしながら校舎の中に入って行く。

「…若いって良いなあ。」

「…柑奈、おっさん臭い。」

「えっ」

学校の屋上から双眼鏡(私物)を使って校舎に入って行く新入生を見つめながら呟いたら菜美翔に微妙な視線を向けられた。いやん。

「だってあたし達新入生な訳じゃないだろー?ああいう小さい子達見るとなんか撫で回したくなるよな。」

「だからって今の台詞はないよ。女子力磨きなさい。」

「へーい。あ、あの娘可愛いぞ菜美翔!」

「………。」

そう、あたし達は二年生。入学式は一年前に終えた。この学校の入学式は二、三年生は出席しない。だから今回の入学式は全く関係ない。関係あるのは生徒会のメンバーだけ。

「…会長に惚れる娘は何人出るんだろうな。あ、あの娘が持ってるパン美味そう。」

「さあね。まあ女子学生のほとんどじゃない?あんたみたいな女子力皆無を除く。」

「えー…傷ついたあ。」