武はよろけて、ぬかるんだ土の上に倒れこんだ。

鍬を持っていた男が、手を震わせて指を放す。

ゴトッと鈍い音をたてて落ちた鍬の鉄の部分は、いびつな形に曲がり、泥が付いているだけだった。

武はゆっくりと時間をかけて立ち上がり、男達の方に顔を向けた。

「うわぁぁー」

「逃げろー」

男達は悲鳴をあげて持っていたものを放り投げると、転がる様にもと来た道を逃げていった。

道の上には持ち主を失った二本の鍬と棒きれ、袋からこぼれだした石が泥だらけになって落ちていた。