「おい、待てと言っているだろう」

男の一人が武の背中に向かって、こぶし程もある大きな石を投げつけた。

石は勢いよく男の手を離れ、武の背中に当たって土の上に半分ほどめり込んだ。

武はその衝撃で一瞬だけよろけたが、そのまま何事もなかったかのように歩き続ける。

それを見たもう一人の男が前に出て、持っていた鍬を武の肩口に向かって振り下ろした。

風を切って振り下ろされた鍬の錆びた鉄の部分が、武の首元に食い込んだ。


「イヤッ、レイラさん。武が!」

両手で口を覆い、千華が悲鳴をあげる。

「いいから、黙って見てなって」