「そこに座んな」

千華は言われたとおり、レイラの正面に腰を下ろす。

「なーに、話って?」

その問いかけに答えることなく、レイラは水晶球を覆っていた薄紫の布をはずした。

部屋の照明は、営業中と同じようにピンライトのみになっている。

薄暗い神秘的な空間に台座を挟んでレイラと千華が座っていた。


何かただならぬ空気を感じ取った千華は、いつものように質問攻めにすることなく、黙ってレイラの言葉を待っていた。

「さて、千華。あんた武のこと好きなのかい?」

姿勢を正してレイラがそう口にすると、薄暗い中でもわかるぐらいに千華の顔が赤く染まっていった。

「そうかい」

その反応を見て、おかしそうにレイラがクックッとのどを鳴らす。

千華は反論しようと一瞬だけ口を開きかけたが、諦めるように俯いた。