「で、結局行くことにしたのかい?」

武の隣に腰を下ろしたレイラが、パタパタと扇で煽ぎながら訊いてきた。

扇に染み付いたビャクダンの香りが、鼻先をかすめて流れていく。

「まだ、考えてる……」

「そーかい。まぁ、あんたの好きにすればいーさ。

ちなみに今日も、占いの結果は二重丸だよ」

「二重丸ってなんだよ?

そんな風に見えるもんなのか?」

「そいつは企業秘密だよ。知りたかったら金出しな」

そう言って、扇を閉じて武の頭を殴りつける。

ジンは相変わらずニヤニヤとした笑みを貼り付けて、酒をあおっていた。