「昨日は寝れたの?」

レジに紙幣と小銭を入れながら由加里が訊いた。

「あんまりね。なんか緊張しちゃって」

「そうだと思った。目の下、クマできてるよ」

自分の目の下を指先で押さえて、由加里が笑う。

「うそっ」

呟いて姿見を覗き込み、

「ほんとだー」

と千珠が言葉を漏らした。