「おはよ」

シャッターを両手で押し上げて、由加里が言った。

「おはよう。昨日はありがとね」

微笑みながらそう返し、千珠もシャッターの取っ手に手をかけ背伸びをする。

「ありがと」

由加里はジャラジャラとたくさんの鍵の付いたキーケースの中からひとつを選び出し、鍵穴に差し込んで右に回す。

由加里のあとについて店内に足を踏み入れた千珠が、

照明のタッチパネルをひとつずつ押していく。