「武、ちょっといいかい? 入るよ」

レイラが扉を開けて入ってきた。

「まだ返事してないんだけど」

ベッドの上でごろりと転がって顔を向け、不機嫌そうに武が顔をしかめる。

「いいじゃないかい、細かいことを気にしてると年寄りになっちまうよ」

そう言ってから、

「ああ、あんたは年をとらなかったんだねぇ」

と、ジンそっくりのニヤニヤとした笑みを浮かべる。

「ほっとけよ」

武は短く吐き捨てて、レイラに背中を向けた。

「おや、いいのかい? そんな態度とって。

せっかくあたしが、あんたの探し物を見つけてあげたっていうのにさ」

「どーせまた、いつもの水晶球占いなんだろ?」

興味を微塵(みじん)も見せずに武が答えた。