「なんなの、お侍様って?」

不思議そうな顔をして、千華が三人の顔を見る。

「なんでもねーよ」

ごまかすようにジンが言葉を濁すが、そんなことでは千華の好奇心は納まらなかった。

「ねえ、なんなの? ねえねえ」

もくもくと食事を続ける武に詰め寄る。

ジンの顔にはいつものニヤニヤ笑いはすでになく、

困ったような顔をして頬の傷を指でなぞるように撫でていた。

そして唯一の発言能力を持つレイラは、じっと黙って武を見つめていた。