アロハシャツの男はというと、完全に戦意を損失しているらしく、

千華の腕を握り締めたまま口をパクパクと動かし、空いている方の手を振りながらあとずさる。

この事件の当事者である千華も、おとなしく腕をつかまれたまま、呆然と二つの目を見開いていた。

「帰るぞ」

武はため息をひとつついて、声をかけた。