狙いは寸分たがうことなく、男は「グゥ」という奇妙な声をあげると、鼻を押さえてしゃがみこんだ。

そしてもう片方の男にも、振り上げた傘を一連の動作でそのまま振り下ろす。

何が起きたのかさえわからない男は、

流れ出す血によって自分の身に起こったことにやっと気づくと、

ひとり目の犠牲者と同じように両手で鼻を押さえた。

どす黒いアスファルトの上に、赤い血が指の隙間から滴(したた)り落ちる。

武は地べたにしゃがみこむ二人をちらりと見て、

足でどかすように蹴り、その間を通り抜けた。