「やだ、レイラさんやりすぎだよ。ケガしたらどーするの?」

あせったように千華が席を立ち、武に駆け寄った。

「大丈夫? 痛い?」

行き場のなくなったまま宙に浮いている武の腕をティッシュで拭い、傷がないかどうか丹念に確かめる。

武は「大丈夫だから」と言ってその手を振り払い、

「悪かったな」

小さく呟くと、自分の部屋に戻っていった。

レイラは何事もなかったかのように料理を口に運び、

ジンの顔にはいつもの笑顔が張り付いていた。