「ねえ、今日も探しに行かないの?」

もう何日も家から外に出ようとしない武に、千華がじれたように声をかけた。

武は目の前のお皿からハンバーグの一切れを口に放り込むことで、答えることを回避する。

言われてみれば、もう一週間ほど外に出ていなかったことを思い出した。

レイラとジンはいつものように口を挟むことなく黙って料理を口に運び、お酒を飲んでいる。

「そんなに閉じこもってばかりだと、おじいちゃんになっちゃうよ」

何気ない千華の一言に、レイラとジンが揃(そろ)ってふきだした。

レイラは閉じた扇をパンパンと手で打ち鳴らし、ジンはいつものニヤニヤとした笑いをいっそう強め、武の返す言葉を待っている。