男の胸には、後悔ばかりが溢れてくる。

その間にも、炎は容赦なく赤い舌先をチロチロと伸ばして肌に突き刺さる。

男は女が死してなお握り締めている小刀(こがたな)を手に取り、自分の首元に刃をあてた。

鈍く銀色に光る刃にこびり付いていた女の血が、

新たに滲み出してきた男の血と混ざり、

とめどなく流れ続ける涙を連れては身体を流れ落ちていく。

最後の別れを告げようと、女の顔を見つめ口を開きかけたそのとき。

目の前の炎の中に、真っ黒な着物を頭からすっぽりとかぶった銀髪の女が現れた。