「どうして……」

武の口から、呟きが漏れた。

千珠も緊張した顔をして見つめてくる。

銀の鈴は鳴らなかった。

思いっきり横に振ってみるが、鈴は一切音を鳴らそうとはしない。

武は手の中に鈴を握り締めて、振り回してみた。

そして音が鳴らないことがわかると、思いっきり床に叩きつけた。

鈴は赤い紐を巻きつけて、ころころとドアのほうに転がっていった。