「ああ、レイラに聞いたのか?」

「うん」

「決めたんだ」

天井を見つめて武が言った。

「千珠さん?」

「ああ」

「武が探してたのって、千珠さんだったの?」

「いや、わからん」

「もし……」

何か言いかけようとした千華の言葉を遮るように武が言った。

「もし違っても、子供を産んでくれるって言うんだ。

そしたらひとりでいなくてもすむからって」

「そう……」

小さな、小さな言葉は武の胸に吸い込まれていった。