「決めたのかい?」

閉じた瞼を開くことなくレイラが言った。

「ああ」

「そうかい」

ため息のように呟いて、レイラがゆっくりと瞳を開けた。

この部屋の独特な雰囲気のせいか、二つの瞳には神秘的なナニカが宿っているように見えた。

そしてレイラの顔には、複雑そうな笑みが浮かんでいた。

いつもの人を小ばかにしたようなものとも、ジンが常に見せているニヤニヤとした意地悪そうなものとも違っていた。

武はひきつけられるように、レイラを見つめる。

「そうかい、そうかい。やっと決めたのかい」

首筋に沿って胸に流れ落ちる銀髪を、両手でバサッと後ろに払いレイラが微笑んだ。