水晶球を見つめながら、レイラは小さくため息をついた。

透き通った玉の中には、泣きつかれて眠った千華の姿があった。

「やっぱり、かわいそうだったかねぇ」

小さく呟いて、水晶球の上に紫色の布を載せる。

「レイラ、ちょっといいか?」

久しぶりに仕事部屋に顔を出して、武が言った。

レイラはちらっと横目で見てから、小さく頷いて目で向かいの椅子をさした。

武は木でできた椅子を引いて、ゆっくりと腰を下ろす。

レイラは台の上に肘をつき、組んだ手の甲にあごをのせて、しばらく瞳を閉じていた。

ピンライトの光が、まっすぐに流れ落ちている銀髪の上に輝きを作る。

武はその光をひとつずつ眺めていた。

遥か昔に見た夜空の星は、きっとこんなふうに輝いていたのだろう。

何故か、そんな気がした。