武の腕に落ちた一粒は、とても温かなものだった。

「大丈夫だ、時期に忘れるよ」

武には、ほかに言う言葉が見つからなかった。

ジンは、

「そうか」

そう言ったきり、何も話さなかった。

再び、部屋は静寂に包まれた。

そして今度は武が、最初の鍵盤を叩いた。

「なぁ、ジン」

ジンは何も返さなかった。

それでも耳を傾けているのが、空気を通して伝わってくる。