さっき廊下から覗いたら、レイラとジンの部屋の灯りは消えていた。

だからまず見つかることもないし、もし見つかっても事情を話せばきっとわかってくれるはずだ。

千華は薄暗い中、箪笥の前に行き、一番上の引き出しを開けた。

ゆっくり手前に引くと、Tシャツに囲まれるようにして桐の箱を見つけられた。

千華は両手でそっと手にとって、持ち上げてみた。

悪いことをしているという自覚のためか、指先が微かに震える。

指の震えを止めるために、桐の箱を胸の前でギュッと抱きしめた。

辺りはシーンとしていて、武の帰ってきそうな気配はない。