「もう、もう少し仲良くしてよ……」

千珠が困ったように言うと、「フンッ」と由加里が鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

ごめんね、というように千珠が目で合図を送ってきたので、

武も気にしてない、というように軽く首をすくめて返す。

「おまたせいたしました」

マスターが銀のトレイにグラスを三つのせて、ゆったりとした動作でコースターの上に音もなく置いていく。

「じゃあ、とりあえず乾杯ってことで」

由加里が言った。

武と千珠もグラスを上げて、小さく「乾杯」と言った。