次の日、武は約束どおり千珠の店に行った。

薄暗くなった店の前で立っていると、レジの前にいた由加里がやってきて、

「この前はごめん」

と、ぶっきらぼうに頭を下げた。

そしてごまかす様にこう続けた。

「ほら、あの子って、ちょっとおっとりしてるでしょ? 

だから騙されてるんじゃないかなぁー、なんて思っちゃって」

「ああ、そうだな。でも、普通の人はたいてい信じてくれないし。簡単に信じる奴のほうが珍しいから」

武が言うと、

「だよね」

由加里が苦笑いを見せた。