「ねえ、これは?」

千華が黄色と青の半そでシャツを胸にあてて訊いてきた。

武はもう何度目になるかわからない言葉を口に乗せる。

「ああ、いいんじゃないか」

千華が唇を尖(とが)らせた。

「もう、さっきからそればっかりじゃん」

「そうか?」

「そうだよ」

千華は、盛大にため息をついてハンガーを元に戻した。

鉄の棒にかけられたシャツがゆらゆらと揺れている。