「最近の武って、なんかやさしくなったよね」

「そうか?」

「うん、だって近くにいても怒んなくなったし」

下から千華が覗き込む。

「手なんか繋いだら、昔なら振り払われたよ、きっと」

確かに最近は、千華に対して安らぎのようなものを感じる気がしていた。

隠し事がなくなったせいだと思っていたが、千華の態度が変わらなかったのが嬉しかったのかもしれない。

「千華がやさしくしてくれるからだよ」

「えっ、じゃあ、あたしもっとやさしくするから、武もやさしくしてね」

「ああ、そうだな」

千華の頭を撫でてやった。

「あたしね、武に頭撫でられるの好きなんだ」

「そうか?」

「うん、そうだよ」