名刺を眺めながら三本のタバコを灰にして、四本目に火をつけたとき、

勢いよくドアを開けて千華が入ってきた。

武はちらりと横目で確認して、名刺をベッドサイドのテーブルに置いた。

「なーに、それ?」

当たり前のように興味を示し、千華が言った。

「もらったんだ」

「ふーん、誰に?」

「友達……かな」

千華が珍しそうに名刺を手に取り裏返した。

「洋服屋さんだね。でもこれってレディースだよ」

「ああ」

「もしかして、あたしにプレゼントとか?」

千華が目を輝かせる。

武は違うと言いかけて、目の前にある満面の笑顔に思わず頷いてしまった。