部屋にある唯一の窓からは、今日も光が差し込んでいた。

最近はこの光を浴びながら、ベッドに転がってタバコを吹かす毎日だった。

ただそうしている内にいつのまにか、武の見つめる先は、天井に伸びる白い煙から名刺に変わっていた。

千珠に名刺を渡されてから、すでに二日が過ぎていた。

この家に電話がないわけではないし、電話のかけ方ぐらいは知っている。

ただ、いつかければいいのか。

それが武にはわからなかった。

もちろんそんなことをジンやレイラに相談すれば、どうなるかぐらいは容易に想像がつくし、そうするつもりはさらさらない。

かといって、見つめていても千珠から電話がかかってくることがないのも知っている。

やはり、夜にかけるのが妥当(だとう)なんだろうか?

この二日間、そう思い続け、結局踏み切れずに終わっていた。