「きれいな曲だね」

「でしょ? ジャケ買いだったんだけど、これは当たりだったね。自分でもそう思う」

白い煙を吐き出しながら、ゆったりと身体を揺らしている。

「この人って有名なの?」

「さぁ、わたしもよく知らないんだ。たまたま手に取って、衝動買いだったから。

でもたぶん、有名ではないんじゃない。だってこんな名前、聞いたことないし」

「ふーん、今度落としてくれる?」

「ん、いーよ。やっとく」

「あの、できたら二つ欲しいんだけど」

千珠が小さく呟くと、由加里は呆れたように、「はいはい、わかってますよ」

白い煙を千珠に吹きつけて笑った。