由加里は千珠の持ってきた缶ビールにとても喜び、新しく買い入れたお気に入りのCDをかけて歓迎してくれた。

ただ、昨日の出来事を聞きたくてうずうずしているようだった。

由加里の言うところの、最近外国でヒットしている女性ボーカリストの甘い歌声をバックミュージックにし、

買ってきたばかりの缶ビールを飲みながら、訊ねられるままに千珠は語りだした。

途中途中で再び涙が溢れそうになり、それを押さえるために話を中断することになったけれど、

由加里は流れる歌声に耳を傾け、缶ビールをすすりながら黙って待っていてくれた。

そして話し終えた頃には、千珠の瞳からは大粒の涙が次々に流れ落ちていた。

「あんたもよく泣くよね」

困ったように微笑みながら、由加里はティッシュの箱を渡してくれた。