テーブルにはレイラの姿はなく、ジンと千華が向かい合って座っていた。

千華は先程とは打って変わって、

ゆったりとおしゃべりに華を咲かせているようだった。

「ジン、悪いんだけどタバコ一本くれないか?」

「これで最後だ」

ジンは指先に挟んだタバコを掲げて言った。

「あー、そういえばそれ、武のタバコじゃないの?」

テーブルの上の握りつぶされたタバコの箱を手にとって、千華が目を細める。

「ああ、そうそう。武、タバコ貰ったから」

ニヤニヤと笑いながら、ジンが最後の一本を灰皿に押しつけた。